2008年7月1日(火)14:42

ポーランド大統領はリスボン条約に署名しない意向

ワルシャワ(AP)

アイルランドの国民投票による批准否決から3週間後、ポーランドのリスボン条約批准も危機に瀕している。すでにワルシャワのポーランド議会は批准を承認したにもかかわらず、レフ・カチンスキ大統領は火曜日、批准文書の署名を拒否した。アイルランドの批准否決を受けて条約は実体を失った、とカチンスキ大統領はジェニク紙Dziennik に語った。欧州委員会はカチンスキ大統領の違約を非難し、フランスは拡大を停止するとあらためて警告した。

「ポーランド政府は他の加盟国と同じく条約に調印し、それにより批准する意向も明確に表明したのだ」。「加えて私は、ポーランド大統領が条約交渉において最も重要な当事者の一人であったことを大統領自身に思い出してもらいたい」と欧州委員会のピア・アーレンキルデ・ハンセン広報官は語った。

カチンスキ大統領は昨年、ブリュッセルとリスボンでの長時間にわたる交渉の末、いくつかのポーランドの特別要求を認めさせた上で、条約に承認を与えた。その後条約は12月にカチンスキ大統領も同席する中、ドナルド・トゥスク首相とラドスワフ・シコルスキ外相によってリスボンで調印された。

ジェニク紙とのインタビューでカチンスキ大統領は、リスボン条約は絶対不可欠というわけではないと述べた。「EUは過去も現在も未来も機能し続ける。」

EU議長国フランス:「新たな条約なしにはEU拡大もない」

これに対し、火曜日に輪番制のEU議長国を引き継いだフランスは、あらためて今後の新たなEU拡大にはEUの改革が必要になると指摘した。「ポーランドのような国にとっては拡大が最も良い根拠となる。ポーランドはこれまで拡大のエンジンであったから」とフランスのニコラ・サルコジ大統領の広報官は語った。エリゼ宮ではカチンスキ大統領が議会の意向を無視する構えであることに驚きの声が上がった。

危機の発端は6月12日のアイルランド国民投票による条約の批准否決であった。アイルランドの批准がなければ、リスボン条約は発効に至らない。しかし他のEU加盟国は先の首脳会議で、当面批准手続きを継続することで合意に達している。

EUはケーラー独大統領の決定を「尊重」

ドイツでも批准は目下凍結されている。ホルスト・ケーラー大統領は、カールスルーエの連邦憲法裁判所の要請に応え、リスボン条約に反対する幾件かの訴訟についての憲法判断が下りるのを待って署名を行う意向である。ケーラー大統領はカチンスキ大統領とは異なり、批准文書の署名を原則的に拒否する意向ではない。欧州委員会は火曜日、「私たちはこの決定を尊重する。ドイツは批准手続きを早期に完了できるものと確信している」との声明を発表した。

社会民主党(SPD)所属のヨー・ライネン欧州議員は、今回のカチンスキ大統領の決定を批判し、私はリスボン条約が果たして「日の目を見るか」かなり懸念していると述べた。そうなれば創立国のドイツ、フランスを中心とする「中核EU」Kerneuropaを真剣に検討する必要が出てくる、とライネン議員はザールラントラジオSaarlandischer Rundfunkに語った。

原題:Polnischer Praesident will EU-Reformvertrag nicht unterzeichnen




ホームへ戻る